ビジネスにおける定量分析の3つのポイント

定量分析とは、元々は化学分析に使われる手法で、試料中の成分量を決定する為に実施する手法です。ことビジネスの世界では問題の分析に具体的な『数値』を使って分析を行う事を指します

定量分析を行う際の3つのポイント

1.問題の本質を見極め、有効な指標を活用する

 定量分析を行う理由は、合理的な意思決定をするためです。問題解決のために具体的な数値を使い分析することで、より確度の高い選択をすることができます。また、会議やプレゼン等で説得力のある提案を行う事ができます。

問題の本質を見極めるには「ロジックツリー」や「仮説思考」を有効に使い、もれなくダブりなく比較検討を行います。

2.環境要因を考慮する

どんな数値が有効であるかは環境によって変化します。環境要因を考慮せず、数字だけで分析を行っても全く意味のない結果になる場合があるので注意しましょう。ファミリー層が多く住んでいる地域で、「大人向けのBAR」の売上が良くないのは何故か?と悩んでいるようなものです。

「なぜその数値を使うのか?」を明確に答えられるようにしましょう。

3.不確実性を考慮する

予測できない影響についても考慮する必要があります。例えば景気の動向や、自然災害のリスク等です。景気が上昇していくと想定したケース、横ばいのケース、下降していくケース。それぞれのケースで期待される数値を仮定しましょう。また、災害・事故発生時の数値の変化も考慮することでより質の高い意思決定が可能となります。

マーケティングに有効な3つの重要数値

1.代表値

3つと言いながらまずは代表的な数値と言われる「平均値、中央値、最頻値」をまとめて代表値とします。単純な数値なので算出も簡単かつ有効です。

全国100店の店舗を展開しているA社があるとします。

店舗1  売上60
店舗2  売上100

店舗100 売上10

店舗ごとの売上で考えると、

平均値(mean)・・・「全店舗の平均の値」
中央値(median)・・・「全店舗中、真ん中(50番目)の売上の値」
最頻値(mode)・・・「全店舗の中で同じ売上が最も多い値」

となります。

2.期待値(Expected Value)

Expected Value(期待される価値)、EVと省略されることもあります。求め方は、起こりうる値(x1,x2,x3…)とそれに対する起こる確率(p1,p2,p3…)の積の和(x1*p1+x2*p2….)です。超簡単に言うと「起こりうる値の平均値」となります。

A地区に出店した場合の売上の期待値

10・・・確率80%

50・・・確率10%

100・・・確率5%

10*80/100+50*10/100+100*5/100=8+5+5=18

となりますので期待値は18となります。

確率は予測ではなく過去のデータなどから算出することが望ましく、また少ないデータだとあまり意味がないので注意しましょう。

3.標準偏差

平均値からの距離の大きさです。つまり「どれくらいばらつきがあるか」を算出した値です。

「ばらつきの大きさ=リスクの大きさ」ですので標準偏差が大きくかつ、平均値が高い値が望まれます。求め方は少しややこしいですが

①平均値からの差を2乗する

②①の合計値をデータの総数で割る

③②の値の平方根を計算する

と算出できます。エクセルで「STDEVP」という数式を使い、値を選択すれば簡単に算出できますのでいちいち計算はする必要はありません。

プレゼン資料に上記の数値で定量分析を行い、一歩先の提案をすることができると、上司からも高い評価を受けること間違いなしです。ビジネスマンは常に数値を論理的に説明できるよう意識することが大切ですね